おばあちゃんと一太郎 ③

 一太郎は、夢で見た光景が忘れられない。夢はすぐに消えてしまうことを
何度も経験したので、目が覚めるとすぐにメモを取ったりもしたし、詳細は
頭の引き出しにきっちりとしまい込んだ。

誰にも言わなかったが、来る日も来る日も引き出しから出したり収めたりして
記憶を留めているうちに、膨らんでいく夢の実現に向けて、一歩踏み出した
一太郎であった。

「掘ってどうする」   おばあちゃんは真剣な顔をして聞くので、一太郎の方
             がかえって驚いた。

「何処をどう掘る? なんの為かや」   たたみかけるように聞いてくる
「おばあちゃんの家と僕の部屋を地下トンネルで結びたい・・・・・」

「玄関があるが」   つっけんどんではあったが、なんだか理解を示している
             ようでもあった。

「トンネルは坊には掘れん」
「やってみんと分からん・・・・・・おばあちゃんはいつもそう言うじゃないね」
「蟻の通るトンネルじゃあるまいが・・・絵に描いた餅じゃ」

あんなに秘密にしていた夢を打ち明けたのに、ばっさり切られてしまうと
青菜に塩の一太郎であった。 二人はしばらく黙っていた。

「おばあちゃんが独りだから・・・・・」 泣きたくなった
「心配してくれるのか? おばあちゃんは強いんだぞ トンネルとはええこと
 考えたもんじゃがな…いまいちだの」

そう言いながら笑って一太郎を元気付けるのでした。













              

この記事へのコメント

happymama
2011年08月24日 18:25
一太郎とおばあちゃんとの秘密のトンネルが作られるのか???
早く続きが読みたい~~

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