おばあちゃんと一太郎 ④

 優しい孫の気持ちは痛いほど解る。一太郎が産まれて幼稚園を卒業するま
では自分が面倒を見てきたし、共稼ぎの両親に代わって、参観日に出かける
こともあった。
 だがその成長と共に、少しづつ自分から遠ざけようとする意思を感じ始めた
祖母は、自分から離れていかなければならないと思った。おばあちゃん子だとい
うレッテルは孫の将来に、弱点を残すような気がした。

 目に入れても痛くないほどの孫の存在に、冷静且沈着であろうとすればする
ほど、引き寄せて抱きしめてやりたい衝動にかられるのでした。

「トンネルがあると、僕が気の向くままにいつでもおばあちゃんのところへ来ら
 れるんだよ。誰にも気づかれずに・・・・・・・・」

「こそこそ地下の道をかい 堂々と玄関から来い 男のくせしての」 

 一太郎にはうまく言えないが、誰も傷つけないで、出入りしたかった。母親
のなんとも言えないご機嫌斜めの顔も見たくないし、祖母を批判がましく言う
会話も聞きたくなかった。あんなに自分のことを可愛がってくれる祖母に、何か
と言えばつっけんどんな母の態度が、子供心にも悲しく重くのしかかっていた。

「おばあちゃんもうちで一緒に御飯食べればいいのに」
「年寄りと若い者とではなあ、好みも違う お母さんもお疲れじゃ」

一太郎はまだ何か言いたかったが、言えなかった
「いつでも来ればいいじゃないか、お母さんに黙って来るなよ おばあちゃんは
 こそこそするのは嫌いじゃからのう」

おばあちゃんと一太郎は顔を見つめながらまた明日ねと挨拶をかわして
今日は終わったのです。

 
       また明日ね

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