おばあちゃんと一太郎 ⑤

 ゴールデンウイークには、一太郎の喜ぶ旅行の計画がじっくりと練られて
いたが、当日まで行く先はどうやら内緒らしい。おばあちゃんも一緒ならい
いと何度も懇願したそうだ。 おばあちゃんは年をとっているから無理だと言
われ、しぶしぶ納得させられたのだと言う。

「お土産買ってくるから・・・・・・」 申し訳なさそうに一太郎はしょげている。

「おばあちゃんもな、友達同士で温泉にでも行くつもりだよ」

一太郎は満面の笑みを見せた。

GWの始まりは、曇り空だったが、朝早くから一太郎の弾んだ声が祖母
の家まで嬉しさを運んで来た。
 
 仕事に追われる夫婦の休みは、子供にとっては最高の悦びであった。
祖母は我がことのように嬉しかった。 一太郎に今一番必要なことは、親子
水入らずの時間を、出来るだけ多く作ってやることだといつも考えていた。

「じゃあ、よろしくおねがいします」 そう言って、夫婦は車に乗り込んだ

「楽しんでなあ」            おばあちゃんは一太郎の方を見た

「温泉!」               ガラスに鼻をこすりつけながら見えなく
                     なるまで手を振っていた。

 気丈にふるまっているものの、大切なものがふっと消えてしまう寂しさには
勝てないなあと眼がしらを熱くするおばあちゃんでした。


               明日も見てね

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