猫のつぶやき(台風前夜のお月さん)

画像明日は台風が上陸するというので、夏の夜空を飾るはずだったイベントがあちこちで中止となった。相次ぐ災害の復旧も進まぬさ中の12号台風到来は残酷過ぎる。

窓越しに夜空を見上げると、雲をかき分けるように月がじっと地球を見ていた。
台風は本当に来るのだろうかと疑った。

 「母さん、台風は日本に上陸するのを止めたんだよ きっと」

 「お月さんがそう言ったのかい?」

、お月さんが僕に投げかけたあの心地よいゆたらかな微笑みは、間違いなくそう言ったんだ。母さんは僕と同じように感じたに違いないのに、具体的な説明を迫ってくると思って、黙っていた。

 「お月さんを見てると、悪いことは何一つ起きない気になるね」

 「・・・・・・・そうだよね母さん」

何だか嬉しくなったんだ。僕と母さんが同じことを感じ、同じように明日を描き、同じ場所で同じ空気を吸いながら生きていることが。

お月さんもいいけど、僕は母さんとお月さんは同じくらい好きなんだ。母さんは、僕のことを猫だなんて言わないんだ。僕は列記とした家族の一員として、押しも押されもしない大事な存在なのだと言うから、僕も僕なりにそれに応えるようにしようと心掛けているんだ。

母さんの子供の頃は、台風に女性の名前が付いていたらしい。 何故だか知らないが、何故だかちょっぴり分かるようでもあり、おかしくもある。

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