猫のつぶやき(待つ母へ)

0D6F87B4-C206-43C5-A2CA-0A6FCE01097A.jpeg 母さん、貴方の娘を今日そちらへ送りました。此方では突然のことで誰もが一瞬言葉を失ないました。時が次第に冷静をくれ、失意の中にも滞りなく葬送の義を終えました。そろそろ其方へ到着かと思います。あと少しで米寿を迎えるはずだった彼女も、母さんの元では年齢など何の差し障りもなく子供に違いなく、果てしない無限の世界で思いっきり褒めてあげてください。子供の頃から好きだった踊りも、もう覚えられないから辞めようかしらと言っていたものの、死の前日までお稽古に行っていたのだもの、やっぱり褒めてあげるべきですよね。

菜の花や、杏子の咲き誇る道を行く彼女を乗せた車。花をこよなく愛した彼女にふさわしい旅立ちでした。
母さん、そろそろあなたの目に入ってくると思います。
川のほとりで背伸びしながら待っている母さんに、好物の一つも届けたいと言うのが私の切なる願望でした。平成6年の2月、、貴方の息子が其方へ逝った日、雪がちらちらと舞ってはいましたが、後一ヶ月兄の旅立ちが遅ければ、瀬戸の桜を母さんに見せてあげたかったのです。

    逝く兄に 川の向こうで待つ母へ 持たせやりたや 瀬戸の桜花

五本の指を折ることもなくなりました。貴方が愛で握りしめた子供たちも、残すところ二人っきりになりました。いつの時も、親はづっと待ち続けるのですね。自分が産んだ子の全てが、役割を終えて戻ってきて、母さんのふところに抱かれるまで、母さんは戻ってくる子を迎えに三途の川の辺りまで行くのですね。母さん、本当に人生は貴重な経験の連続です。一人送る度に、何かしら階段を一つ登った気がします。申し訳ありませんが、しばらく待っていて下さい。
到着しましたか?  彼女は母さんに87年分の大量の話をするでしょう。 
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