猫のつぶやき(心頭滅却すれば火もまた涼し)

うだるような暑さって本当に実感してるよ。心頭滅却すれば火もまた涼し。なあんて言ったって、暑いものは暑い。 織田信長に逆らった男を引き渡すように求めれれた寺の住職が断った為に、寺ごと火をつけられて焼かれた。その時住職は「心頭滅却すれば火もまた涼し」と言ったが、結局焼かれて死んだのだ。 僕は死なない。 母さんがいろいろ気…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(夢か現か幻か)

夢か現か幻か そう表現するにふさわしい今の僕である。脳みそにまで襲いかかろうとする熱射は、夏のそれじゃない。異常としか思えない。どんなに暑くても、朝晩の涼しい風が一日をホット癒してくれる。これが夏である。僕はゴロゴロと寝そべって、貴重な時を無駄にしている。 夢だったのか、いやいや本当に母さんが呼んでいたのか。 「呼…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき (背中で表現)

.「親の背を見て 子は育つ」 「後輩は上司の背中を見て育つ」  こんな諺を昔はよく聞かされた。親のすることが子にとっては世間の常識であり、上司のすることが後輩にとっての常識となる。 「母さん 僕の背中を見て何か感じる?」 「笑いたくなる」 「またまた、そんな………ねえ 真面目に答えて」 僕の後ろ姿を見ていた母さ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(夏目漱石賞)

お笑い芸人の又吉が芥川賞をとった。お笑い芸人初の快挙だ。マスコミのカメラやマイクの集中インタビューに、これからも芸人100%でいくのだと落ち着いて応えていた。 この賞を受けた者が将来作家としていつまでも継続できる確証などありはしないことをよくわきまえているのだろう。 人間はおおよそ60兆の細胞から成るというから、ひときわ秀で…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(僕のルーツ)

アメリカという国家の最も暗い側面を描いた「ルーツ」というドキュメンタリー小説が、テレビドラマになって放映されたのは1977年と言うから、当時生まれた人は、今ではもう40歳近くになる。 アレックス・ヘイリー原作の「ルーツ」は、西アフリカのガンビアで生まれた黒人少年クンタ・キンテを始祖とする黒人奴隷の親子三代の物語である。世界中が…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(笹の葉サラサラ七夕の夜)

牽牛と織姫の話をしながら、母さんは僕のために笹飾りを作ってくれた。僕がいつも元気でいてくれるだけでいいと言う。ゴンも願い事があれば母さんが短冊を作ってあげると執拗に聞くけれど、僕も母さんと思うことは同じさ。 「今夜は雨だから、牽牛も織姫も傘を差して出かけるのだろうか?」 天の川に雨が降るわけないじゃないかと即座にお叱りを被っ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(文月の朝)

< 2015年も丁度半ばにきた。年の初めから張り切りすぎた面もあり、ここらでちょっと振り返る。 その時その時で、これでよし 、と自分に言い聞かせながら納得の日々を生きてきたことには満足をしているが、おかしなもので、それで全てよしと言う訳でもない。「完璧」ということはあり得ない。自分の中でそんな風にじわじわと完璧という厚い壁を崩…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(チョコレートは王様)

「ゴンは何処でチョコの味を知ったのだろう」 戦後の貧しい中を生きてきた母さんにしてみれば、70年経った今でさえチョコは菓子の王様的存在らしい。 確かにチョコレートの味は、懐かしいだけでなく高級感のあるミルキーさの中に、ホッと癒されるものを感じる。母さんは僕とチョコレートの意外性にかなり強い関心を持ったのか、戸棚の奥にいつも買い置…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(花一匁の悲しい響き)

僕が慌てて家に帰って来たのには、訳があるんだ。母さんに話したい。母さんに聞いてもらいたい。その一心が僕をこんなにまでジャンプさせたんだ。       ふるさとまとめて 花一匁                ふるさとまとめて花一匁       勝って嬉しい花一匁       負け…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(梅雨を快く迎えよう)

霧のかかった朝のなんと殺風景なことか。青い空に白い雲、緩やかに緑の曲線を引く山々のずっしりとした安定感、それが当たり前のことと、何の疑いもなくみすごしてきた無頓着さは迂闊であった。 自然はいつも同じ顔をみせるわけではない。(鬱陶しい梅雨) そう思い込むのも勝手な傲慢である。  これからすぐそこまで迫って来た梅雨の季節を快く迎…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(端っこは希望の入り口)

何処に行きたい? と聞くと はずれがいいねえ と言う。地図を広げれば、海に心地よく浮かぶ日本の端っこばかりを手で追っている。 「どうして端っこが良いんだろう?」 「端っこには 希望を感じるんだよ ゴン」 母さんの答えはいつも決まって同じだ。内に向えば向かうほど窮屈でもあり、何もかも出来上がってしまっていて面白くな…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(老婆の休日)

3人合わせて240歳にもなろうかという婆様たちがやって来て、僕の部屋を占領してしまった。 母さん一人でもなかなか僕には手にあまるのに、3人となるともうどうにもならない。たわいない話で盛り上がり、咳こむほどに笑いころげ、遠くなった耳をうまくカモフラージュして、聞こえたふりをしている。隠し通せぬしわも、どうやらここではふてぶてしい面構へに…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(散歩道は教えてくれる)

自転車の前かごに乗っての散歩は、実に爽快である。母さんは平気な顔で休みなくペタルを踏んでいる。目的地は同じでも、昨日とはちょっとばかり道が違っているのは母さんらしくていい。 今日はどうやら裏道を選んでいるようだ。これまで見えてなかった風景が新鮮でより楽しい散歩道となった。 住まいの脇で紫色の花をつけたジャガイモが、10本ばか…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(一杯の珈琲を求めて)

今日と言う日の始まりに相応しいBGMである。 静かに明けた朝の私に相応しい珈琲の香り。 五月の緑が山を覆い、自転車と共に流れるつつじの道の 心を揺さぶる爽やか な風の なんと嬉しいことか。 この時間と空間に身をおくことの喜こびが生み出す様々な想像力。 この細やかな時がもたらすものは、幸せなどというあまいものでも …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(芭蕉と一休さん)

ただぶらぶらと、ただぼんやりと、暇にまかせて旅をしようと考えていた。 それも松雄芭蕉の奥の細道にちょっとばかり刺激された感がある。 芭蕉が東北、北陸の旅に出たのは46歳の時であった。 今の46歳といえばまだ人生の一番決起盛んな年であるが、 当時は「人生わずか50年」 と言われた時代のことであるから驚きである。元禄2年…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(公園)

公園は、僕達の社交場であり、休憩所であり、人間観察の空間でもある。軽やかにジョギングする者、口から生まれてきたようなウォーキングの女性達、みんなこの公園を横切って行く。  澄んだ空と萌える新緑のコントラストは、五月ならではの爽やかさである。桜が終わり、つつじやさつきが競うように咲き誇った公園のベンチはついこの前まで、桜の花びらで遠…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(同じ穴のむじな)

公園のベンチは、夕べの雨がまだそこを占領していた。猫の早朝会議は、それでもいつもどおり進行した。 今朝は珍しく長老の姿も見られ、若い猫達は心なしか行儀よく神妙である。 来世はどんなものに生まれかわりたいか、とてつもない議題に若いものははしゃぎ、老いたものは心の塵をかき集めるように眉間に皺を寄せた。 「……これがいいと言うも…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(真夜中の鼻歌)

こんな真夜中に聞こえてくる鼻歌は、どこか不気味だ。僕の心は大きく波打ってはいたが、母さんにきずかれないようにじっと耳だけは立てて様子を探っている。 「あいつだ」 そうだとわかっているが、やっぱりじっとしていた。 この頃あいつはたいてい真夜中にやってきては僕のテリトリーを闊歩しているんだ。 鼻歌まで出るということは、してやった…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(白いてぶくろ)

県会議員や市会議員の選挙が迫り、街を行く選挙カーの声はかしましく、白い手袋の動きも激しい花冷えの日、しっとりと雨をも取りこんでさくらの花びらを奪ってしまった。 パッと咲いて、ぱっと散った桜は美しい。白い手袋の揺れ動く日々ももう終わる。当落が確定してしまうと、白い手袋は無用の塵となってしまうのだろう。候補者全員の白い手袋が意味するも…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(雄叫び隊)

僕達猫の早朝会議において、四月から、雄叫び隊を結成したんだ。 昔と違って、生活して行く上で、何もかもが目覚ましい進歩、発展を遂げてきたけれど、僕らから見れば、人間は便利になればなるほど本質が狂ってくるのではないかと考えているんだ。 一つ一つこつこつ積み上げていき、その達成感でこそ味わえた喜びも、スイッチをポンと押すだけでこ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(今日がすべて)

桜が満開となり、電車も満員となり、3月も終った。年度末であり、新学期のはじまりでもある。穏やかであり、気ぜわしくもある。365日毎に迎える歯車も日々メンテナンスを心掛けておかないと、とんでもないトラブルを招く。 365日前の誕生日は、顔いっぱいで笑っていても、365日後のその日に笑っていられるか、何の保証もない。桜の花の美しさもあっ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(裸の王様)

ふと気がつくと、行ったこともなければ、普段全く意識の中に存在すらしなかった都市の名前が 幾度となく口の中で空回りすることがある。「ウランバートル」 といえばモンゴル国の首都である。日本の相撲かモンゴルの相撲か15日間も聞かされる「モンゴル国」 「ウランバートル出身」 。 違和感なくすらすらと言えてしまう。時代もかわったものである。 …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(平成維新の立役者)

NHKの大河ドラマ「花燃ゆ」で、高杉晋作が登場して来て、一段と興味深くなった、明治維新の立役者達の顔ぶれは、書物を通してイメージしていたそれらとは少しばかり違った面もあるけれど、なかなかのキャスティングだ。 「純粋」 で前向きな若い血潮の躍動が、実に新鮮に突き刺さる。江戸幕府ガ崩壊し、天皇中心とする新政府が成立するまでの過程。1867…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(名残り雪)

たゆとう雲をあざ笑うかのように、雪は風と遊ぶ。三月になって降る雪を 名残り雪 と表現するようになったのはごく近年のことであるが、その呼び名が実に様々な夢を掻き立てたり、あるいは想像の空間を組み立てたりする。 「名残惜しい、名残尽きない、そんな言葉であらわすことは、物への、執着、人への執着、そして、命への、この世への執着なのではあるまい…
トラックバック:0
コメント:1

続きを読むread more

猫のつぶやき(母さんの春一番)

おおよそ70億の民と、全ての生き物が共存するこの地球上を、公平に照らし出す太陽が、今正に雲間から顔を出した。神々しい光の分配が、、70億分の1の私に命を注ぐ。  我が心に問う。自然のままの自分であり続けようとする意思に陰りはないか、ゆがみはないか。 「立っちした」  「はいはいした」  「歩いた」  「走った」  そうして今があ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(故郷)

3月弥生を迎えた朝、真綿に包まれたように、ふるさとの山々は小雨の中でじっと静止していた。車窓に張り付いたように目を凝らした。返ってくる響きは何もなく,遠く過ぎ去った思い出をかき集めてみるのでした。    ふるさとは 遠きにありて思うもの    そして悲しくうたうもの    よしや    うらぶれて 異土の乞食となると…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(受験生)

ローカル線の各駅から乗り込んでくる若い人達があった。一様にキャリーバックを持ち、新幹線の時間や、ホテルに着いてからのスケジュールについて打ち合わせをしている。どうやら大学受験であるらしい。まるで修学旅行にでも出かけるように、その声も所作も弾んでいる。  この子たちが全員合格して、希望校に行けるかどうか。 本懐を遂げて次のステップを踏…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(古典落語の味わい)

明治は遠く成りにけり なんて言っていたのに 今や昭和は遠く成りにけりで正に光陰矢のごとしである。母さんは炬燵のなかで至福の気分でいる僕を相手に、列車から猛スピードで遠ざかる風景のように遥か過ぎ去りし時代へと誘う。 テレビのなかった女学生時代、ラジオにかじりついて落語を聞いた。江戸の庶民の暮らしが面白可笑しく手に取るように鮮明にイメージ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(婆様たちのおしゃべり)

婆様たちの話は延々と続き、終わることをまるで意識の中に持ち合わせていないようにみえる。 「昔を語るようじゃ老いた証拠……なんて言うけど、わたしらの昔は昔じゃないよ、たったこのあいだのことじゃないか。 ああ、ああ、結構ですよ、老いてますよ。老いたからこそこうしておしゃべりを楽しんでいられるんだもの」 自慢の脚線をアピール…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(本当の格好よさ)

いつも遊びに来るしろちゃんは、たいてい僕と意見が合うので、喧嘩になることはない。でも勝手なもんで、たまには激しく論争してみたいという思いもあって、お互いの弱点に触れてもみるが、しろちゃんも僕も、そんな愚かしい結末をあえて引き出すことの無意味さを知るだけに 、「そうだよね」 「そうだね」 「そうかもしれない」  などとあい…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(公害対策基本法)

青い空を一段と純な色に引き立たせるような白い煙は、街の工場から吐き出されるものだ。 以前はひどい悪臭が街中を覆い包んでいたものだ。昭和42年8月公害対策基本法が制定され、企業も自治体も国を挙げて取り組んだ結果、見違えるように環境は整備された。 日本の4大公害病と言われる、水俣病・第二水俣病(新潟水俣病)・四日市ぜんそく・イタイイタイ病…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(蝋梅の香に酔って)

あざやかな緑の葉を秋には黄色に染め上げ、そして冬の風は1枚残らずその葉を何処かへ運んで行った。香高く、すがしいろう梅は、いまやっとその姿を現し、、コートの襟を立てて小走りに急ぐ人達の足を止める。何と控えめな美しさであろうか。 母さんは僕のために一枝を花瓶に活けてくれた。 「大勢の乗客の目なんて目じゃないよ」とでも言いそうな若い娘…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(変わるということ)

昭和も遠くなりにけり。様々な行事は、年が変わってもその日付けが変わることはなかった。働lかざる者食う可からずが当然の風潮の時代でもあった。 TV画面の早送りを見るように、人々はじっとしていることはなかった。戦後の復興のめざましさはまさにこの頑張りにあった。たまの休日に家でごろごろしていることは、何かしら罪悪感を感じ、周囲の目も白く感じ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(夜明けのスキャット)

「夜明けのスキャト」 を思わず口ずさみたくなる朝。明けきらぬ僕のお気に入りの塀の上には、まだまだ新年のほのかな香りが、漂っていて、何かしら初々しい気分でいられる。 クリスマスには(メリークリスマス) お正月には(ハッピーニューイアー) 誕生日は(ハッピーバースデー)。大きな声で僕は言ったんだ。黙って一人つぶやくことより、何倍も幸せ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(2015.少女A&B)

貴方でしたか、母さんの幼馴染というのは。僕は毎日のように貴方のことを聞かされているので、目をつむっていてもおおよその姿形は予想できました。そうですか、やっぱりあなたでしたか。 タクシーから降りて来る所作で、瞬間的に感じました。僕の感が鋭いのか、母さんの説明が適格なのか、母さんと僕の気持ちがまるで相似形の如く、ぶれていないのかも知れ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(一年を振り返る)

たった一枚になった今日の日めくりは、紙質が違 うのではないかとふと思った。それほどに今年という一年を支えてきた重みは、並大抵ではなかったであろう。日本列島をこれでもかと痛めつけた自然災害の発生。消費税の賛否や政治家の不正に事欠かぬメディアの執拗な報道。衆議院議員選挙の投票率のあまりの悪さに、日本の未来を憂うことの価値。国とは、国家とは、…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(山の顔)

危険をおかしてまでなぜ山に登るーのか、それがそこにあるからだというジョージ・マロリーの答えだった。 こんな台詞が、名言としていまもなにかにつけて引用されるが、なるほどそこに山があれば、おのずと惹きつける力を感じずにはいられない。日本には、太古の昔から山への信仰があり、三霊山、七霊山と言われるほど、そこに神の存在を意識しながら、…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(鴨君のこと)

川面を飾るさざ波の上で、鴨の群れはただその小さな身を任せている。まるで、無抵抗の人形のようでありながら、冷たい水の感触を楽しんでいる。 「鴨君 君達この寒さでよく平気でいられるね」 「………」 鴨達はきょとんとした顔で僕の方を見ていたが、川土手の僕に向かっていっせいに近ずいて来る。、一糸乱れぬ曲線美を描きながら、水音一…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(選挙権はないけれど)

師走の風は緊張感を増し、家路へと向かう足音もどこか気ぜわしい。選挙カーの必至の声が、迫り来る規定時刻に追われながら、夕暮れをいっそう早めるように走り去る。あと一週間すれば新しい衆議院議員の顔ぶれが決まる。 僕は家族の一員だと言われ、手厚い待遇も、ルール違反のお叱りも当然家族の枠内にある。しかしながら、猫であることには違いなく僕…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(あったかい兎小屋)

ビルの林立した街を一望して、人間の欲望のとてつもない拡大を感じる。 かつて、フランスの12代首相エデイット・クレッソンが、「日本人はうさぎ小屋」のような小さい家に住み……だとか、アリのように殺しても殺してもわいて出るだとか、さまざまな表現で日本を侮辱し、バッシングしたことをおもわずにはいられない。 「黄色いチビ」と人種差別さ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(黄色い電車で)

黄色い電車がやって来た。母さんはきっとこの電車で帰ってくる。 「お~い! 見えてるよ~~」  窓からきっと見てるであろう母さんに向かって、僕はできるだけの大声をはりあげた。一瞬でその声を飲み込んでしまう電車の窓から、「ゴーン ! 見えるよ~」 と母さんの声が耳元へ飛び込んできたように感じた。毎日顔を突き合わせて、時にはうるさ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(二階の屋根から脱出)

こんないい天気に家の中でいつまで寝てんだよ! そんな声がしたんだ。確かにそう聞こえたんだ。 思わず起き上がって、背伸びして大きなあくびを一つしてみたがだあれもいない。 なんだよ母さん買い物に行ってくるよって出て行ったばかりじゃないか。 「すぐに帰るからいい子にしときなさい」  なんて、ほらねテーブルの上に大きな字で書…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(月の夜)

「若いころは、これでいいのか、こんな生き方でいいのか なんていつも自分に問うたもんだよ」  母さんは黙ってうなずいている。今夜の月はことに美しい。月の中にいるもう一人の自分との心の対話は、母さんをいつも直な気持ちにしてくれるのだと言う。 「いつの間にか自分に問いかけることもなくなった」   月はすぐそこまで近ずいてきて…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(ホットカーペット)

" />朝方の冷え込みに驚いてついにホットカーペットにスイッチオンさ。僕はエアコンより何倍も好きさ。 母さんの膝には叶わないけど.ね。 台所でがさごそやってる生活音を聞きながら、ほっかほかのカーペットの上でじっくりと毛づくろいする時間は最高さ。 僕と母さんとの会話は、今の所うまく行ってる。 食べることに関しては、欲しい物が…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(神楽)

鎮守の森は神楽ばやしに華やいだ。風に乗って笛の音は一層澄み渡り、リズミカルに虚空を流れる太鼓の音色は、古の人々との何も違わない心の奥底の扉を開く。 笛と太鼓と素朴な舞は、長い石段を汗して登った甲斐があった。提灯のやわらかな明かりに浮かびあがる石段は、正に「古事記」や「日本書紀」、或るいわそれ以上遡った縄文の自然崇拝の神の降臨へと誘…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(柿食えば~)

ぷりぷりの(あわせ柿)が仏壇の灯明でその色を際立たせていた。 僕は屋根の上からたわわに実った柿を眺めながら、秋の日々をじっくりと味わって育った幼い頃を、 今もよく覚えているんだ。 仏壇の柿をちょっとばかり手で触ってみたいと思った。手を伸ばすと、柿の方から転がり落ちて来て  「いい色だろう?」   って言うんだ。  …
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(ありがとう)

母さんは外へ遊びに出ようとする僕を椅子に座らせて 「今日は頭の体操をしよう」  なんて言い出すんだ。 僕はどうでもいいことなんだけどなあと渋い顔をすると、母さんはすかさず 「さあ、始めるぞ」   うんスン言う隙を与えない。やれやれ、どうあがいたって、母さんには到底勝てる僕ではない。 「どんな体操?」   気のりしないストレー…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(お出迎え)

秋の夕暮れは早い。僕も外でいつまでも遊び呆けているわけにもいかなくなった。 台所の片隅でぼそぼそと一人、いや一匹で食べる食事の味気なさに比べ、母さんと共有するこのひとときは、充実感と明日への希望に繋げる大事な今日の最後のイベントなんだ。 母さんのお小言も多少は想定しておくのも我が家の常識であるが、たわいのない愚痴なんか、水と一緒に飲…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

猫のつぶやき(こん世はおもろいとこや)

「こん世はおもろいとこや」 この街で生まれこの街でづっと生きてきた長老の口癖である。 尻尾の先っちょが少しだけこぶのように変形しているのが彼の誇りででもあるかのように、日がな一日丹念になめまわしている。 変形した訳を聞こうものなら、延々と終わりを知らない。 もう誰も聞くものはいなくなった。目汁鼻汁のくしゃくしゃになった顔で、若…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more