テーマ:ばばちゃんは仙人

「ばばちゃんは仙人」 ⑬ばばちゃん不思議の世界へ 

 ばばちゃんが秘密の話をし終わった翌朝のことでした。 「ばばちゃん 朝の支度ができたで」 沙希は離れの縁側から声をかけた。 「ばばちゃん ご飯で」 言いながら障子を開けると、ばばちゃんはきちんと 布団をかけたまま寝ていた。 「ばばちゃん!」 でもばばちゃんの顔はいつもと違っていた。沙希は 「あっ!」     と声にならない…
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「ばばちゃんは仙人」 ⑫ 天真爛漫に生きる

 ばばが、ずうーと心の一番奥にしまっておいた秘密の話はお終いじゃよ。 「おしまい?」 沙希は少し何か聞き忘れているような、まだ何かあるような そんな気がしていた。  「お・し・ま・い?・ ばばちゃんは凄いね」  「・・・・・・・・」  「ばばちゃんは、何十年も約束を守って生きてきたんじゃね」  「約束は、約束じゃ。・・・・・…
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ばばちゃんは仙人」 ⑪ 約束 

 ばばちゃんはなあ、これまで一度もこの話をしなかったよ。親との固い約束 だったし、大きくなるに従って、「誰にも言ってはだめだぞ」という意味が、解 ってきたからじゃ。 「なんで?」  沙希も聞いてみたかったことだ。 「世間様はなあ、あの娘は死にぞこないよ、あの世を見たんだとよ なんてな あ、そんな風評は、どんどん真実から遠の…
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「ばばちゃんは仙人」 ⑩ 帰還

 「母ちゃーん! 父ちゃーん!」 思わずほとばしるばばの声が、空洞に響 き渡り、こだまのように返っては響いた。やがてその声は耳をつんざく爆音の ように、洞の奥へ沈んでいった。 履いていた藁草履はどこかで脱げてしまったのだろう素足のままであった。 洞窟の壁でできた擦り傷からは血が流れていたが、青白い光だけを目印に ばばはただ…
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「ばばちゃんは仙人」 ⑨ 青白い光の帯

 赤い玉の美しく暖かな光の誘導で、長い長い空洞を歩いた。やがて遥か向こ うに青白く輝く光の帯に目もくらむばかりであった。  ばばはその激しく波打つような光へ向かって無意識にかけ出していた。 何故か知らない、何故かわからない、ただ我武者羅に走った。 青白い光の帯は大きく揺れて、ばばをすっぽりと包み込んで流れて行った。 ゴ…
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「ばばちゃんは仙人」 ⑧ あっと言う間の人生

 動物達の嬉しそうな様子に、赤い玉がコットン!と動いたことさえばばは気 がつかなんだよ。赤い玉はコットン!!ともう一度大きくはずんだ。ばばは次 の穴をあわてて覗きこんだ。    穴を覗くのも慣れてきて、小さな穴にもすぐ目を合わせることが出来るように なった。そこに見えるすべての情景は、これから先のばばの人生を映し出して いた…
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「ばばちゃんは仙人」 ⑦ 動物の言葉 

 赤い玉の誘導で次の穴を覗くと、そこには動物や鳥や、虫達、ありとあら ゆる生き物が飛び跳ねていたよ。  牛や馬  犬、猫, 兎、 赤弁慶がに、 めじろ、 鈴虫、 鶏、 蛙   ばばちゃんは、とても動物が好きで,子供のころからどんな生き物にも情を かけてきたが、その時見た情景は、今も忘れられない喜びであり、言葉の 通じな…
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「ばばちゃんは仙人」 ⑥ ばばちゃんの青春

 赤い玉がその時コットン!と動いた。ばばが次の穴に目をやると、緑が広が る段々畑の中に男女のシルエットがあった。幸せそうに二人は長い時を共にし た。赤い鼻緒の藁草履をはいた女の子と、白い鼻緒の男の子は、別れの時を 告げる寺の鐘を悲しげに聞いた。男の子は本を脇にはさみながら、人目をさけ るようにして、一度だけ振り返った。女の子は野…
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「ばばちゃんは仙人」 ⑤ 穴から見えたものは

 最初の穴にじっと目をこらしてみると、なにやら大勢の人のようにも見えるし、 沢山の塊のようにも見てとれる。はっきりした目や鼻があるわけでもないのに それらは絶えず一定の動きをしている。ばばには、人が作業をしているよう思 えた。赤い玉が動く気配がないので、身動きもせずその場に釘付けであった。 その者達はなにかを作っているのだと…
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「ばばちゃんは仙人」 ④ 赤い玉が止まった 

 赤い玉は、ばばが止まると止まり、歩き出すとまたコットン! コットン! ところがって行くんじゃ。穴の中は暗うてよう見えんのじゃが、赤い玉だけ ははっきりと鮮やかに見える。不思議なことじゃが、その時のばばは何も 考えもせず黙って後からついて行くだけじゃった。後ろを一度も振り返りも せずなあ。 やがて玉が止まった。なにもない空…
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「ばばちゃんは仙人」 ③ 赤い玉

 そこが一体何処なのか、ばばには見当がつかなかった。その場所は誰も見た ことのない山の中にある一つの世界であった。 「雪は?」 沙希は思わず心配顔で聞いた。 「そんなもんあるかいな、あたり一面きれいな花園じゃあ」 ばばは強く否定した。 「ばばちゃんのお父さんやお母さんは?」           沙希は膝を正した。 ばば…
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「ばばちゃんは仙人」 ② 少女のころのばば

 ばばが、ちょうど沙希ちゃんと同じ年の頃のことじゃった。雪がちらちら舞 うておったよ。正月も近づいていて、障子の張り替えをしたり、しめ飾りの 藁を打ったり、昼間の疲れた体に鞭打って遅くまで夜なべする母ちゃんや 父ちゃんのそばで、ばばも毎晩手伝いをしたもんだよ。  ある日のこと、夕方になっても父ちゃんも母ちゃんも山から帰りが遅いの…
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ばばちゃんは仙人」 ①ばばちゃんと沙希

 沙希が1年生の時第2次世界大戦は終結した。戦争の終わりはこれから先の 生きる闘いの始まりでもありました。戦地で藻屑と散った尊い命、生死もわから らぬ夫や息子の帰りを待ち続ける家族の怒りと悲しみ。そんな感情をも包みこん で明日の食糧の算段もままならぬ日々は続いた。道端の草も食卓に上るように なり、田舎の住人さえも、もっと田舎へ田…
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