テーマ:おばあちゃんと一太郎

おばあちゃんと一太郎 ⑧

 トンネルを掘りたいと言ったことは、おばあちゃんの中では今も生きていた。 一太郎の言うトンネルの意味とは違うにしても、その発想は十分興味をそそ るものがある。土を相手にしていると、とてつもないことが芽生えたり、ユニ ―クな発想が次々に浮かんでくるものだ。  子供の頃、手伝いと言えばいつも畑の草取りだの、水やりなどで時間を 費や…
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おばあちゃんと一太郎 ⑦

 家の前には畑が広がっていた。一人ではとても作りきれないが、種から 小さな芽がふき始めるころは、収穫の時よりも喜びは一段と深いものがあ った。 突き抜けた青空の下で、おばあちゃんは何やら四隅に竹を立てて、 紐を張っている。  学校から帰る一太郎を待ちわびていた。何気ないそぶりはして いても、何度も背伸びして遠くをうかがって…
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おばあちゃんと一太郎 ⑥

 親子の旅は、大きな成果をもたらしたようだ。家族が同じ行動をとりながら 一緒に笑い、お互いが強い絆で結ばれていることの確認は、一太郎の心に 芽生え始めた得体のしれない不安や疑心を、一掃してくれたのでした。  「母ちゃんからのお土産があるんだと」  顔を紅潮させて走り込んできた  「すまんなあ、ありがとうよ」   お…
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おばあちゃんと一太郎 ⑤

 ゴールデンウイークには、一太郎の喜ぶ旅行の計画がじっくりと練られて いたが、当日まで行く先はどうやら内緒らしい。おばあちゃんも一緒ならい いと何度も懇願したそうだ。 おばあちゃんは年をとっているから無理だと言 われ、しぶしぶ納得させられたのだと言う。 「お土産買ってくるから・・・・・・」 申し訳なさそうに一太郎はしょげてい…
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おばあちゃんと一太郎 ④

 優しい孫の気持ちは痛いほど解る。一太郎が産まれて幼稚園を卒業するま では自分が面倒を見てきたし、共稼ぎの両親に代わって、参観日に出かける こともあった。  だがその成長と共に、少しづつ自分から遠ざけようとする意思を感じ始めた 祖母は、自分から離れていかなければならないと思った。おばあちゃん子だとい うレッテルは孫の将来に、弱…
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おばあちゃんと一太郎 ③

 一太郎は、夢で見た光景が忘れられない。夢はすぐに消えてしまうことを 何度も経験したので、目が覚めるとすぐにメモを取ったりもしたし、詳細は 頭の引き出しにきっちりとしまい込んだ。 誰にも言わなかったが、来る日も来る日も引き出しから出したり収めたりして 記憶を留めているうちに、膨らんでいく夢の実現に向けて、一歩踏み出した 一…
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おばあちゃんと一太郎 ②

 今日も雨が降っていて周りには人の声もない。学校を終えた一太郎は やっぱりおばあちゃんの家にいた。 「友達はいないのかい」  孫の帰りを何よりも心待ちにしている自分なのに                 一太郎が、入り浸りになることに一抹の不安もあ                 り、これでいいのだろうかと、ついついつっぱね…
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おばあちゃんと一太郎 ①

雨が降る日は、行動範囲の限定もあり、鬱陶しいだけでなんにもいいこと がないと思いがちだが、一太郎にとっては、待ち焦がれるほど雨降りが楽 しい。 同じ敷地内に祖母の住まいがあり、一太郎が家にいない時は決まってそこ にいた。祖母は、もう何年も一人で暮らしていて、食事も一人で作るし、風呂 も決して貰い湯などしない。一太郎が泊まりた…
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