おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)⑧ 墓石の中はな、先祖様や、爺ちゃん、ばあちゃん、父ちゃんに兄ちゃん みんなのお骨でいっぱいじゃった。 「なんであの子のだけが・・・・・・・」 そう言って母ちゃんはしょんぼりしていた。 雨の中を来たり、妹に姿を見せたり。あの子は帰る場所をなくして 母ちゃんに助けを求めてさまようておったんじゃろう。 明日は新しいのへ… トラックバック:0 コメント:0 2011年09月27日 続きを読むread more
おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)⑦ 夜になって、母ちゃんがいつものように枕もとで、お伽話をしてくれた。 半分聞きながら、後の半分は今日出会おうた男の子のことを話そうかどう したもんかと考えておった。 「面白うないか?」 母ちゃんには子供の心の中まで解るんじゃなあ。 「昨日来た子な、またきょう出会うたで」 「・・・・・・・・・・・・」 母ち… トラックバック:0 コメント:0 2011年09月26日 続きを読むread more
おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)⑥ きれいな目をしておった。何の濁りものうてなあ。色白の可愛い子じゃった。 「名前は?」 「年は?」 お家は?」 誰もが聞くことを、ちょっと聞いて みたい気もしたんじゃが、何も聞けんかった。 男の子は言葉を発することはなかった。ただただ黙っているだけじゃった。 どれぐらいの時が経ったのかも分からなんだ。二人に、時間も言葉… トラックバック:0 コメント:0 2011年09月25日 続きを読むread more
おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)⑤ 次の日は、昨日の雨が嘘のようにええ天気になって、なにかしら高揚感 に満ちておった。丘の上に行ってみようと思うたわけでもないのに、いつの 間にか足は向いていたんじゃよ。まるで何かに誘われているようになあ。 静まり返った丘の上には、誰あれも人影はなかった。墓石の前に立って この中に兄ちゃんがいるんじゃな… トラックバック:0 コメント:0 2011年09月24日 続きを読むread more
おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)④ ある雨の日じゃった。その日は一日中降り続いて、外で遊ぶこともできず 物足りない時間を持て余していたんじゃよ。窓の外を時折傘の人が通るだ けの風景にも見飽きてな、そろそろ夕飯の支度をする母ちゃんの側へ行っ て見ようとしたときじゃった。 傘もささず、ずぶぬれになった男の子がこっちを見て立っておったんじゃ。… トラックバック:0 コメント:0 2011年09月23日 続きを読むread more
おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)③ 丘の上は太陽でいっぱいじゃった。墓石もその光の中にあった。 手を合わすと、母ちゃんが小さい声でつぶやいた言葉を、わしは今もよう 覚えちょるよ。 「母ちゃんは、忘れてないでなあ」 誰に言うたんじゃろか? わしは訳が解らんじゃったが、後で聞こうと思うた。母ちゃんは何でもない ようなすっきり… トラックバック:0 コメント:0 2011年09月22日 続きを読むread more
おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)② 翌日のことじゃった。空は雲一点ない浮き浮きするような日じゃったよ。 わしは昨日のことが気がかりで、一人で墓所へ行ってみることにした。 丘の上では、風にささやく竹の葉の、なんと賑やかなこと、まるで大勢 の人間が騒いでいるかのようにも思えた。 だあれもいなかった。墓の前に座ってじっと見据えていたが、あの音は 何処から… トラックバック:0 コメント:0 2011年09月21日 続きを読むread more