テーマ:あっちから来た子

おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)⑧

 墓石の中はな、先祖様や、爺ちゃん、ばあちゃん、父ちゃんに兄ちゃん みんなのお骨でいっぱいじゃった。 「なんであの子のだけが・・・・・・・」 そう言って母ちゃんはしょんぼりしていた。 雨の中を来たり、妹に姿を見せたり。あの子は帰る場所をなくして 母ちゃんに助けを求めてさまようておったんじゃろう。 明日は新しいのへ…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)⑦

 夜になって、母ちゃんがいつものように枕もとで、お伽話をしてくれた。 半分聞きながら、後の半分は今日出会おうた男の子のことを話そうかどう したもんかと考えておった。 「面白うないか?」  母ちゃんには子供の心の中まで解るんじゃなあ。 「昨日来た子な、またきょう出会うたで」 「・・・・・・・・・・・・」  母ち…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)⑥

 きれいな目をしておった。何の濁りものうてなあ。色白の可愛い子じゃった。 「名前は?」  「年は?」  お家は?」  誰もが聞くことを、ちょっと聞いて みたい気もしたんじゃが、何も聞けんかった。 男の子は言葉を発することはなかった。ただただ黙っているだけじゃった。 どれぐらいの時が経ったのかも分からなんだ。二人に、時間も言葉…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)⑤

 次の日は、昨日の雨が嘘のようにええ天気になって、なにかしら高揚感 に満ちておった。丘の上に行ってみようと思うたわけでもないのに、いつの 間にか足は向いていたんじゃよ。まるで何かに誘われているようになあ。  静まり返った丘の上には、誰あれも人影はなかった。墓石の前に立って この中に兄ちゃんがいるんじゃな…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)④

 ある雨の日じゃった。その日は一日中降り続いて、外で遊ぶこともできず 物足りない時間を持て余していたんじゃよ。窓の外を時折傘の人が通るだ けの風景にも見飽きてな、そろそろ夕飯の支度をする母ちゃんの側へ行っ て見ようとしたときじゃった。  傘もささず、ずぶぬれになった男の子がこっちを見て立っておったんじゃ。…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)③

 丘の上は太陽でいっぱいじゃった。墓石もその光の中にあった。 手を合わすと、母ちゃんが小さい声でつぶやいた言葉を、わしは今もよう 覚えちょるよ。 「母ちゃんは、忘れてないでなあ」     誰に言うたんじゃろか? わしは訳が解らんじゃったが、後で聞こうと思うた。母ちゃんは何でもない ようなすっきり…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more

おばあちゃんの不思議なお話(あっちから来た子)②

 翌日のことじゃった。空は雲一点ない浮き浮きするような日じゃったよ。 わしは昨日のことが気がかりで、一人で墓所へ行ってみることにした。  丘の上では、風にささやく竹の葉の、なんと賑やかなこと、まるで大勢 の人間が騒いでいるかのようにも思えた。  だあれもいなかった。墓の前に座ってじっと見据えていたが、あの音は 何処から…
トラックバック:0
コメント:0

続きを読むread more