テーマ:ゴン と はな

「ゴンとはな」(船)

かつてお世話になっていた家に3歳の男の子がいましてね、絵本が好きでしたよ。 一度親に読んでもらうと、すぐに覚えましてね、大きな声で何度も何度も読むもんですから、わたしもそばにねっころがりながらすっかり覚えてしまいました。  青い空 白い雲 すいすい走るよ 僕らのヨット  これだけの文章ですがね、鮮やかなパステルカラーの絵は…
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「ゴンとはな」46・(おばあ様とはな)

おばあ様の捻挫がこじれて、入退院を繰り返したが、やっとよくなった。年齢もかなりになるとなかなか治りも遅いらしいけど、おばあ様はいつも前向きだし、何事も素直に受け止める人だから、きっと完治したのだとはなは自分のことのように鼻が高かった。 早く日が経ってくれたらいいと思った。暮れって何日から? そんなこともゴンに聞いたりしたが、どうも…
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「ゴンとはな」44・(干支)

 来年の干支は[辰]だとお母さんが教えてくれた。 「ねずみの年があるのに何故猫の年がないのか」 ぶつくさ言っている。どうでもいいことだけど、そう言われてみるとそうだよな。ゴンは可笑しくなって笑ってしまったが、同じネコ科のトラが代表して出ているからまあいいやと納得せざるを得ない。  お母さんが鏡に映る顔を、嫌というほど見せてくれた。…
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「ゴンとはな」43・(はな いい子だ)

 やはり はなはしょんぼりと雨を見ていた。ゴンを見つけるとぱっと明るい顔になり、こ踊りして近寄ってきた。 「おじさん 雨の中を来てくれたの」 濡れた体を乾かしながら、かいがいしく尽くすはなをみると、来てよかったとゴンは満足げにポシェットを開けるのでした。 「食べてないんだろ?」 はなは黙って全部たいらげた。「雨が止むといいね」 そう…
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「ゴンとはな」39・(ゴンお疲れ)

 裏の倉庫には、要るようでいらないものがたくさんあるらしい。お母さんは、お父さんの手前は整理してもっとシンプルにするのだと言って、どんどん捨てる方向である。だがゴンには分かる。 お母さんは、はなのためにやってくれているのだと。 「可愛いねこちゃんが、いつ来てもいいように倉庫の鍵は開けておきましょうね」 何気ないお母さんの気…
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「ゴンとはな」34・(ゴンの考え事)

ゴンは時々考え事にふける。若い時期は、何もかもがむしゃらに生きた。喧嘩もした、ふてくされもした。遠くまで出かけては時を忘れた。体も丈夫で怖いものなしの自信にあふれた猫で、仲間では大将で通った。傲慢とも言えるふてぶてしさは、他の者を寄せつけない雄の魅力でもあった。 やがて、そのつけが廻ってきて、苦しい孤独の時期にも耐えた。その頃寛…
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「ゴンとはな」33・(寛ちゃんに会いたい)

ゴンの朝は早い。地域を一巡して帰ると、新聞配達のお兄さんのバイクに出会う。「よう!」と声をかけられる。ゴンはこの挨拶を聞くと、今日一日が明るい気持ちでいられる。 あのお兄さんは中学生かな、高校生かなあ。バイクの走り去った方を振り返りながら、以前世話になった寛ちゃんももう高校生だろうなあと、なつかしさが込み上げてきた。会いたい。会…
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「ゴンとはな」32・(声)

目を覚ますと、約束の時間が迫っていた。 ゴンは思いっきり走った。あの大きな銀杏の木まであと少し。月の光が一緒だった。息切れも気にはならなかった。「間に合った」澄んだ空気の中で、じっと耳をそばだてていると 「ゴン よく忘れずに来た」 木の上から聞こえてくる声は、まるで魔法のように不思議な力と、勇気を湧き起こしてくれるものだった。ゴンは…
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ゴンとはな」31・(はなの健気さ)

 「ゴンおじさん 来ちゃった・・・・しばらくでした」  はなは遠慮がちに笑った。 「やあ!元気にしてた? おばあ様はお元気かね」   はなは急に暗い顔をした。 「入院しちゃった・・・・・会ってないの」            はなの寂しさが伝わって、ゴンも暗い顔をした。 おばあ様の優しい言葉が聞けなくて、部屋の隅っこで泣…
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「ゴンとはな」30・(ゴンの思い)

何事もなかったように日は過ぎて行きました。しかし、ゴンの心は、少しばかり何かが変わっているような気がしました。ゴン自身にも分析出来ないほんの些細な変化でした。  1週間も家を空けると、誰もがちやほやとやたら甘くなり、「ゴン! ゴンちゃん」などとひっきりなし声がかかる。 これを幸せというなら、ゴンは幸せいっぱいであった。はなはど…
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「ゴンとはな」29・(ゴンの失踪)

ゴンの失踪は1週間も続いた。全く予想だにしなかったことだけに、 家族は一様に黙りっこく、何をしていても集中できなかった。 いまに帰るだろうと楽観していたが、3日、4日と過ぎる頃は、不吉 なことばかり考えてしまい、あきらめにも似た心境が色濃くなって いった。もう誰もゴンのことを口にしなくなり、戸を開けては眼で探す こともおおっ…
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「ゴンとはな」28・(碧い空)

 抜けるような空の藍は、心身ともに虫干ししたような気持ちになる。ゴンは庭の 片隅で日光浴をしながら、考え事をしていた。近頃は、はなに会うことも減った。学校には行っているが、 おばあ様の体長が優れないらしく、たいていは家にいておばあ様が寂しがらないようにそばで見守っているらしい。いい子だ・・・・・・猫としての役目をきっちりとこなすはな…
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「ゴンとはな」27・(ゴンの夢)

 ふと目が覚めましたら、「ゴン!寝言を言ってましたよ」 お母さんが 宝物を発見したかのように、素っ頓狂な声で言います。 私が猫だから寝言を言うことも夢を見ることもないと思っていたのでしょう。 「夢をみたのです」 そう言ったつもりでしたが、お母さんは笑ってばかり です。聞いてもらいたいのです。その夢を聞いて下さいとどんなに懇願…
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ゴンとはな」26・(庭掃除)

ゴンの迷惑そうな顔を見て 「ゴン、お父さんをしっかり監督してね」 優しい人だなあと可笑しくなった。自分は外で遊んでいることが 一番邪魔にならないと思いつつ、お父さんの近くに身を置いて、ちらちらと 観察することにした。 「ゴン監督は、なかなかのものだな」 少しばかり嬉しくもある。だがやり出したらいつまで経っても…
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「ゴンとはな」25・(万華鏡)

 学校で万華鏡を作って、はなにも皆が見せてくれたのだといって         その不思議な美しさに大きな衝撃を受けたらしく、何度も畑の土に まみれながら 「すごーい」 「すごーい」 と走り回った。 「人間って 凄いよね・・・・・・凄いと思う」 まだ見たこともない万華鏡の美しさをゴンは想像した。はなは、そんな ゴンの気持…
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「ゴンとはな」24・(車に注意)

はなにほだされて、わたくしゴンは最近勉強を始めました。  勉強と言えるかどうか・・・・・まあ、何でも知りたいと思うよう になりましたんですよ。今は車とスピードについてこまかくチ ェックをしています。  田舎のことですから、運転している人の顔は覚えております。 あの車は隣の主人、この車は何でも屋のお母さん、いつも ス…
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「ゴンとはな」23・(参観日のはな)

ゴンの目にも鮮やかに読み取れるのです。何気なく脇に挟んだバッグや、襟元に見え隠れする ジュエリーの輝き、新調の洋服や靴。親にとっては、大事な行事なのだと、 人間の面白さに触れたのでした。 窓越しにじっと見ているはなの、なんと美しい姿よと、ゴンはあらためて 湧き上がる喜びにしたるのです。 はなには内緒で来た自分でしたが、…
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「ゴンとはな」22・(参観日)

 「参観日って、いやね」 はなは珍しく愚痴を言う。ゴンは参観日のこと が分からなかった。  「参観日には、お父さんやお母さん達が授業を見にくるのよ」 はなの愚痴るわけを知ったゴンの悲しみは翌日になっても消えなかった。 当日だけは、はなの席はかたずけられて、窓の外にいるのだと言う。 「はなは 猫なんだから 何もかも…
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「ゴンとはな」 21.(段ボール箱)

 教室の一番後ろの段ボール箱がはなの席と決められました。どの子も みな優しくしてくれるので、はなはお姫様のような気分でした。私の名前を だあれも知らないので、クラスみんなで決めようとしたのです。 「この子にはちゃんと名前があるはずだから」 先生がそうおっしゃったの。二つの名前でこの子がこんがらかっては可哀 そうでしょう…
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「ゴンとはな」⑳(先生)

 ゴンを見つけたはなの喜びようは、あたりかまわず大きい声で 「ゴンおじさーん!」  と叫ぶことです。ゴンは少しばかり照れてしまいます               がそれでも、無心なはながなんとも可愛いくて               「来たのか」       と、大きな声を返すはめになるのです。 「私、先生とお話したの…
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「ゴンとはな」⑲

 窓越しの勉強は続いていた。はなの意思は固く、おばあ様が目を離すと すーと消えた。 「はなは また何処かえ行ったんだね」 行先きは知らず とも、家の周りでぶらぶらと日向ぼっこでもしているのだと思い込んでいる らしい。ましてや学校に行くなどと・・・・・・・ 今日は何かいいことがあったようで、嬉々として勝手口から飛び込んで帰 …
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「ゴンとはな」⑱(赤い帽子)

 おばあ様は赤いベルベットの布で、とても素敵な帽子を縫ってくださった のよ。私の頭へかぶせながら  「はなや、よく似合うよ、とっても可愛らしいこと」  帽子はとっても可愛いの、だけどわたし・・・・・・・家の内にだけいるわけ じゃないし、それに猫じゃないみたいでちょっとだけいや。  おばあ様には とても言えない。 眼鏡…
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「ゴンとはな」⑰

 秋も深まりました。この時期の陽にしっかり肌を焼いて、寒い冬に丈夫 で居られるように備えます。わたくしゴンは結構いい体格をしておりまして、 皆から羨ましがられるくらいですが、それは、常々こんなところにも気を配 っているからでしょう。まあ元は丈夫に生んでくれた親のおかげなんですよ。 そんなわたしでも、冬の寒さには負けます。夜中…
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「ゴンとはな」⑯(コスモスの髪飾り)

 お家の庭にも、裏の畑にもコスモスがいっぱいです。はなは畑のピンク色のコスモスを摘んできておばあさまの髪にさしてあげたの。「おお、おお」と その喜び様と言ったら、尋常ではなかったのよ。「はなや、いい子だね」 何度も何度も頭をなでて、膝の上でしっかり抱きしめて、息が止まりそうなくらいだったわ。おばあさまの笑顔がとても素敵で、とても可愛くて…
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「ゴンとはな」⑮

 はなの家では、おばあさまが足をねんざしたとかでベットにいることのほうが 多くなり、はなは思うように外にでられないと言います。会えない日が続いたりしますと、わたしはなんだか大事なものを忘れたような気持ちになります。今更ながらはなの存在の大きさに気ずかされるんです。純真な輝きを放つそのの目は、どんな宝石よりも美しい。おばあさまが、可愛が…
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「ゴンとはな」⑭ (お月見)

( 名月や 月見る月は多けれど 月見る月は この月の月)  人間の世界では名句として広く知られているそうですが、まさに今夜の月は素晴らしいだろう。聴覚が際立って良い猫の世界では、この中秋の名月を眺めると、何処からともなく不思議な音色が聞こえてくるのです。猫族だけに天が与えてくれるこのメロディーは、決して何者もまねをすることの出来ない魔法…
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「ゴンとはな」⑬

 ゴンおじさんとお弁当を一緒に食べた運動会は、生まれて初めての経験でした。、はなは一生忘れません。足を引きずりながら走った格好は、とても醜かったでしょうけれど、私、ちっとも恥かしいなんて思わなかったの。無我夢中の時は、そんなこと思う暇なんかないし、走れたことが嬉しくて、おじさんには勿論、皆に感謝でいっぱいだった。 お父さんやお母さ…
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「ゴンとはな」⑫

 秋の運動会も終わり、学校の授業も本格化したようで、「はーい」と一斉に手を上げる声にも、朗読する力の入れようにも、先生、生徒の気合が感じられる毎日となりました。「はな!、こっちへおいで、膝にお座り」などと、家ではまるで玩具のように扱われる彼女は、  ありがたいと思う一方、早く学校に行きたいと焦ることしばしばです。 「暑さ寒さの厳…
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「ゴンとはな」⑪

 紅白対抗の鈴割競技は見ごたえありましたよ。鈴が割れて、中から 「これで午前の競技は終わり昼食にします」 という垂れ幕が下りてきたのには驚きました。 私ははなを校舎の脇の畑に連れて行き、持って来たいりこを渡しました。「お弁当だよ」 はなは嬉しそうに受け取ると、一匹を私にくれました。「お腹すいたね」 そう言って初めて私の背中におぶさ…
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「ゴンとはな」⑩

  運動会は盛り上がっていました。はなは、生徒からずっと離れた場所にいました。駈けっこになり、8人ずつ横に並び始めると、落ち着かないはなの様子に、わたしは思わず駆け寄りました    「はな、あの子の後ろから走れ! さあ、走るんだ!」  やせっぴいの子猫が、傷んだ足を引きずってちょこちょことついて行くのを見た大勢の人達は、そのあたりの…
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