テーマ:猫物語

「ゴンとはな」⑲

 窓越しの勉強は続いていた。はなの意思は固く、おばあ様が目を離すと すーと消えた。 「はなは また何処かえ行ったんだね」 行先きは知らず とも、家の周りでぶらぶらと日向ぼっこでもしているのだと思い込んでいる らしい。ましてや学校に行くなどと・・・・・・・ 今日は何かいいことがあったようで、嬉々として勝手口から飛び込んで帰 …
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「ゴンとはな」⑰

 秋も深まりました。この時期の陽にしっかり肌を焼いて、寒い冬に丈夫 で居られるように備えます。わたくしゴンは結構いい体格をしておりまして、 皆から羨ましがられるくらいですが、それは、常々こんなところにも気を配 っているからでしょう。まあ元は丈夫に生んでくれた親のおかげなんですよ。 そんなわたしでも、冬の寒さには負けます。夜中…
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「ゴンとはな」⑮

 はなの家では、おばあさまが足をねんざしたとかでベットにいることのほうが 多くなり、はなは思うように外にでられないと言います。会えない日が続いたりしますと、わたしはなんだか大事なものを忘れたような気持ちになります。今更ながらはなの存在の大きさに気ずかされるんです。純真な輝きを放つそのの目は、どんな宝石よりも美しい。おばあさまが、可愛が…
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「ゴンとはな」⑬

 ゴンおじさんとお弁当を一緒に食べた運動会は、生まれて初めての経験でした。、はなは一生忘れません。足を引きずりながら走った格好は、とても醜かったでしょうけれど、私、ちっとも恥かしいなんて思わなかったの。無我夢中の時は、そんなこと思う暇なんかないし、走れたことが嬉しくて、おじさんには勿論、皆に感謝でいっぱいだった。 お父さんやお母さ…
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「ゴンとはな」⑫

 秋の運動会も終わり、学校の授業も本格化したようで、「はーい」と一斉に手を上げる声にも、朗読する力の入れようにも、先生、生徒の気合が感じられる毎日となりました。「はな!、こっちへおいで、膝にお座り」などと、家ではまるで玩具のように扱われる彼女は、  ありがたいと思う一方、早く学校に行きたいと焦ることしばしばです。 「暑さ寒さの厳…
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「ゴンとはな」⑪

 紅白対抗の鈴割競技は見ごたえありましたよ。鈴が割れて、中から 「これで午前の競技は終わり昼食にします」 という垂れ幕が下りてきたのには驚きました。 私ははなを校舎の脇の畑に連れて行き、持って来たいりこを渡しました。「お弁当だよ」 はなは嬉しそうに受け取ると、一匹を私にくれました。「お腹すいたね」 そう言って初めて私の背中におぶさ…
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「ゴンとはな」⑩

  運動会は盛り上がっていました。はなは、生徒からずっと離れた場所にいました。駈けっこになり、8人ずつ横に並び始めると、落ち着かないはなの様子に、わたしは思わず駆け寄りました    「はな、あの子の後ろから走れ! さあ、走るんだ!」  やせっぴいの子猫が、傷んだ足を引きずってちょこちょことついて行くのを見た大勢の人達は、そのあたりの…
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「ゴンとはな」⑨

 秋の運動会当日の朝のことでした。私はいつものように川土手を散歩しておりました。どこで見つけたのか、どうして散歩コースを知ったのか、わたしには皆目分かりませんが、こっちへ向かって来るはなに出会いました。まあ女の子というのは、なんでもよく見ているもんだと感心します。 「こんなに早くどうした?」 はなの息は頂点に達してました。全速力で走っ…
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「ゴンとはな」⑧

 私 はなは、ゴンおじさんを尊敬しております。私のいいところをとても適格に指摘して、それを伸ばそうとあれこれと心配りをなさいます。孤児同然のはなにとって、まるで神様のような存在と言う方がいいのかも知れません。ボウフラのいる溜まり水を飲んでいると、「おいで」と言ってきれいな水飲み場を教えてくださいます。家に帰ればいつも豊富な食べ物がありま…
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ゴンとはな」⑦

 月曜日は、はなにとって嬉しい日らしく、早めに登校しているようでした。 「また一週間学校に来られる」        いつもの口癖ですよ はなの   彼女の顔つきにも落ち着きが出てきましてね・・・・自信と言いましょうか、・・・・何かを掴んだのでしょうねえ。 そんな彼女の成長ぶりを目の当たりにしまして、私ごとのように喜んでおり…
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「ゴンとはな」⑥

 新学期が始まり、待ちに待ったはなの喜びは、飛び跳ねることで、素直に 心の内を表現しておりました。 窓越しに背伸びして、先生や黒板、それに大勢の生徒など、目に入る全て を食い入るように見入っていたあの時のはなの姿は、神々しいとさえ感じ ました。 なんとしても、この子を我ら一族のリーダーにしたいものと、私一人で勝手 に…
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「ゴンとはな」⑤

 話がはずみましてね、気がついたらはなの家の前まで来ておりました。 立派な構えでしたが、その形や庭の造りには見覚えがありまた。 まだ若僧の頃の苦い思い出ですがね。                       元を正せば、わたくしゴンは、人間界ではとてつもない分限者の家の倉庫で生まれました。毛並みのいい母親 は結構可愛がられたよう…
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「ゴンとはな」④

 「はなは学校が好きか?」 尋ねました。私はそのことがやはり一番気に なっておりました。  「学校に行くと、人間のことがよく分かるの」 はなは少しはにかみながらぽつりと言うのです。学校の話をする時の彼女 のいきいきした目の輝きを見るにつけ、不思議な感覚を持った子だと、驚き もしましたが、これから先、どんな成長ぶりを見せ…
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「ゴンとはな」③

一度我が家のオーナーに、はなを合わせたいと思いながら、居候の身であるわたしは、なかなか踏ん切りがつかないのです。優しい夫婦ではありますが、はなを連れて帰りますと、お父さんはきっと一匹でたくさんだ、と言うにきまっています。お母さんは根っからの猫好きで、子供の頃から猫と一緒の 暮らしだったと言いますから、可愛い可愛いと言って、わたし以…
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「ゴンとはな」②

 わたしは横着にも、暑い昼間をできるだけ避けての見回りをしておりました が、はなは暑い盛りにもめげず、学校に足を運んだようです。あの痩せた体 で、なかなか出来ることではありません。誰の評価を求めると言うのでもあり ませんが、猫の習性を超えた見上げたもんだと、後にその話を聞いて感心 したのです。 夏休みもそろそろ終わる頃のこ…
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「ゴンとはな」①

 はなとは意外な所で出会ったのです。行きつけの水飲み場でもなく、 夜中の集会所でもなく、勿論私の家でもありません。  町の小学校の裏門前でした。花は、しっかり背伸びして、窓越しに見える 一年生の授業に見入っていました。  わたしは、地区の見回りをしておりましたので、このあたりのことはよおく 承知しておりましたが、はなを見か…
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