おばあちゃんと一太郎 ⑥

 親子の旅は、大きな成果をもたらしたようだ。家族が同じ行動をとりながら
一緒に笑い、お互いが強い絆で結ばれていることの確認は、一太郎の心に
芽生え始めた得体のしれない不安や疑心を、一掃してくれたのでした。

 「母ちゃんからのお土産があるんだと」  顔を紅潮させて走り込んできた

 「すまんなあ、ありがとうよ」  

おばあちゃんの真心がやっと通じ合ったような気がした。 何よりも一太郎
の絡み合った糸の先が、優しくほぐれていくことは、家族みんなの喜びであ
った。

 「温泉は楽しかった?」 一太郎は真顔で聞く  
 「楽しかったよ」      祖母と嫁は顔を見合せて笑った。

 「明日からトンネルでも掘るかのう」

 「母ちゃんも仕事がすんだら手伝おうかな」   

 「もういいんだ」   一太郎は照れくさそうに体をくねらせている。

孫の留守中は、祖母にとっても心の洗濯や頭の切り替えに重要な価値ある
時間であった。

自分は子供の頃、家の中に地下室があったらなあと思うこと再三であった。
そこで、自分だけの時間が持ちたい 少女の夢はこんなところから果てしなく
膨らんでいったのだ。理由は違っても、一太郎のけなげな夢を、大きく育てて
やりたい。
 明日は二人でもっと面白いことに挑戦しよう。 









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