猫のつぶやき(夢で逢いましょう)

画像人気アニメの影響で、今や百人一首のカルタ取りがとても流行っているらしい。

そういえば、同じような年齢だったろうか、正月の遊びはカルタ取りに熱中したものだ。もう70年も昔の思い出である。

母は白い割烹前掛けをして、畑のことなど忘れたかのように三が日を和かに過ごした。その姿を見て私は母の側を離れられなかった。兄や姉達が友達と出かけてしまうと、

「カルタ取りしようか」

母は決して私を一人ぽっちにはしなかった。いつの頃からあったのか、誰が使っていたのか、古い百人一首のカルタは、正月以外はずっと戸棚の中で眠っていた。

「天つ風 雲の通い路吹き閉じよ 乙女の姿しばしとどめむ」

母はよほどこの歌がすきだったのか、大きな声で「はい!」と言って、笑って見せた。

「君がため 春の野に出でて若菜摘む 我が衣手に雪は降りつつ」

光孝天皇のこの歌が、私の一番好きな歌だと気づいて、いつも見て見ぬ振りをして私に譲ってくれた母であった。

どれだけの時を重ねようと、何かにつけて自分の感慨の中で母は鮮やかに呼吸をし続けている。
時には顔を見せてくれないかと呼びかけてみるものの、夢にさえ出られないほどこっちにいた時のように忙しくしているのか、私の中での棲み心地がよほど気に入っているのか。

いずれにしても、 「令和」になったお祝いに、今夜是非私の夢の世界で逢いたいものです…………。画像


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