猫のつぶやき(椿の花よ明日も咲け)

09BA6A27-B561-4755-85C0-3A7E8A5E0CF4.jpeg武家社会では、庭には決して椿の木は植えなかったという。首の落ちる様を連想させるのであろうか。椿の花が見事に咲ききった時、花は花のままで落ちる。その潔さと言おうか、哀れと言おうか、そっと手のひらで包んで
「ありがとう、とても美しかったよ」
と声をかけて送ることしかできない私のはがゆさである。毎日毎日庭の隅に集められた椿の花花は、しばらく私と最後の会話をして去って行く。

何やかやとかしましい人間達の心を癒し、ただひたすらに咲き誇った姿に感動し、感謝の念が湧きおこる。しかしながら、ぽとりと落ちた花の姿は、空洞を吹き抜ける風のように、生あるものの哀しみを撒き散らす。

「 散る桜、殘る桜も 散る桜」

良寛和尚の辞世の句をふと口に出して読んでみた。春近い風に身を任せている椿の花は、やがて散りゆく最後の未知への旅立ちを知ってでもいるかのように、柔らかい陽射しに何度も微笑んでいる。


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