猫のつぶやき(雑草達の歌・1・・・桐)

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『この道はいつか来た道・・・・・・』   北原白秋の歌が自然に口をついて出てくる朝の散歩道である。
いつか来たのではなく、日常的に行き来するこのコースは、何気なく通ればただの鉄道沿線に沿った通路でしかない。

ある日、足元で何かが触れたと思い立ち止まった。 「ん?」 

「時には、この道沿いに生きる私どもにも目をやって下さいな」

人が手を繋いで二人は通れるだろう道の端に、名も知らぬ雑草や木がわずかな地を覆い尽くすかのようなたくましさを見せている。

「雑草と、一括りに言われますがね、私どもには皆それぞれに立派な名前と、誇り高い心意気さえも持ち合わせておりますんです」

そう語りかけて、私の足を止めたのは<桐>の木でした。

「何故 大木にもなれるはずの私が、こんな場所で生きているのかと思われるでしょうが、私にも分かりません」

<桐>は、大きな葉を風に遊ばせながら、花札の四光にも席を持つことや、桐の下駄の値打ちなど存在感を口にした。花札の桐にもカスがあるように自分も似た様なもんですわい・・・・と少しばかりしょんぼりして見せはしたが、此処が結構気に入ってもいるのだと笑った。
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「此処で生きると決めたからには、精一杯生き抜こうと思いましてね」

どうやらこの沿線に根を張る草木の代表をしているらしく、コロナで苦戦している人間界など、まるで無頓着であるかの様な素振りは、見事に「松・桐・ボウズ・桜」の桐のようである。

私は、どうやらこの<桐>との出会いに、興味深々となった。じっくりとこれから彼の話を聞くことになるだろうが、子供の頃のような躍動感さえ湧いてきた。次回に続けよう!


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